自動車 ボンネット

自動車のボンネットの名前、閉じ方、穴の空いている理由

今回のコラムは、自動車のボンネットについて書きたいと思います。

ボンネットは何故「ボンネット」と言うのか?

自動車にはボンネットがありますよね?そうです、自動車の前部のエンジンの上にある、大きなフタです。この「フタ」は、そもそも何で「ボンネット」というのでしょうか?調べてみました。

ボンネットはイギリス英語

ボンネットは英語です。但し、イギリス英語です。アメリカではボンネットでは通じず、フードと呼ぶらしいです。
ボンネットの呼び方
  • 日本  :ボンネット
  • イギリス:ボンネット(Bonnet)
  • アメリカ:フード(Hood)
更に、英語のBonnetは、元はフランス語で「帽子」の意味です。というか、英語でもBonnetが意味するものは「帽子、カバー」です。それが、イギリスではカバーから転じて、車のボンネットに意味を成してると言う事みたいですね。

なので、英語で「ボンネットを開けて」と言うと、アメリカでは「帽子を開けて」って言ってる事になるので、意味が通じなくなるわけです。

ボンネットの正しい閉め方とは?

皆さんは、車のボンネットを開けますか?また、開けた後、どうやってボンネットを閉めていますか?
車のボンネットの閉め方は、2種類あると思います。

  • ボンネットを置いてから、手で押し込む
  • ボンネットを上から落として、勢いでガチャンと閉める
さて、どちらの閉め方が望ましいのでしょうか?

結論から言うと、ボンネットを手で押すのはやめた方が良いです。

車は頑丈にできているんだから、ボンネットを押しても大丈夫でしょう、と思うかもしれません。

しかし、ボンネットというものは、エンジンを覆うカバーなのです。車自体の強度にはあまり関係がないんです。なので、ボンネット自体にはそれほどの強度はありません。早い話、変形しやすいです。

特に、アルミ製のボンネットは要注意です。手で押し込んで閉めたりすると、ボンネットが曲がってしまったり、手の跡がついちゃったりもします。おまけに、手で押してもちゃんと閉まってくれない事も多いです。

鋼鉄製ボンネットならば大丈夫かと言うと、最近は軽量化の影響で薄くなっているので、安心はできません。

要するに、どういう材質でできていても、ボンネットは変形しやすいのです。

そういうわけで、上から落とすのがボンネットの閉め方として正しいということになります。

もちろん、一番上からバターンと閉めるのは、衝撃が強いし、大きな音にもなるしでNGです。

なので、30cmぐらいのところから手を離して閉めるようにしましょう。それでも閉まらない場合は、50cmくらいから閉めればまず大丈夫だと思います。

閉めた後は、ボンネットを持ち上げてみて、グラグラ動かなければOKです。

ボンネットに穴が開いている車は、何で開いているの?

街中で自動車を見ていると、スポーツタイプの車などは、ボンネットに穴が開いていたりしますよね。

あれは、何で穴が開いているんでしょうか?

実は、ボンネットの穴の目的は、冷却性能を高めることです。ただ、冷却といっても2種類あります。

  • 冷たい外気をエンジンルームに導入するため(エアインテーク
  • エンジンルーム内の熱気を車外に放出するため(エアアウトレット

エアインテーク

エアインテークは、外気(空気)を取り入れるための入り口・開口部です。エア・インレット、あるいは日本語で吸気口などとも表記されます。形状によってはエア・スクープと呼ばれる場合もあります。

例えば、スバルのターボ付き自動車は、ボンネットの真ん中に穴が開いていたりしますよね。それがエア・スクープです。

スバル車のエア・スクープをはじめ、穴の開口部が車の前方側に広がっているのは、空気を取り入れるためのエアインテークです。

インタークーラーを冷却することが目的
ターボ車には、過給機で圧縮され温度が上がった吸入空気を冷却するためのインタークーラーがあります。

そして、インタークーラーを冷やすための外気を取り込むのが、エアインテークの目的というわけです

色々なエアインテーク
スバルの水平対向エンジンでは、上部にスペースが取れるため、インタークーラーをエンジン上部に設置することができます。

そして、エンジン上のインタークーラーを冷やすため、あのようにボンネットの真ん中に穴が開く格好になるわけです。

他のメーカーのターボ車にもインタークーラーはついていますが、その設置位置はラジエーターの前(いわゆる「前置き」)が主流です。つまり、スバルのような上置きインタークーラーは、実は少数派になります。

また、日産スカイラインGT−R(BNR34型)のVスペック2や、日産GT−R(R35型)などのNACAダクトは、インタークーラーではなく、ターボチャージャー周辺の冷却が目的になっています。

エアアウトレット

エアアウトレットは、エアインテークと逆で、エンジンルーム内の熱気を車外に放出するための出口・開口部です。

例えば、三菱ランサーエボリューションのボンネットの「穴」は、ラジエーターを通過した熱などエンジンルーム内の熱気を抜く目的のエアアウトレットです。

穴を開ける位置が重要

これまで説明したように、ボンネットに「穴」があることによって、空気の出入りを行わせることができます。

しかし、この穴を開ける位置が要注意なのです。どこでも良いわけではないのです。なぜならば、空気が出て行きやすい場所と、空気が入り込みやすい場所があるからです。

自動車が走行するときは、空気の流れが起こります。ボンネット前半部は、大きな負圧が発生するので、熱気が出ていきやすい部分です。エアアウトレットはここに作ります。

ボンネット後端、すなわちフロントウインドウの下部は、正圧域といえ、空気が入り込みやすい場所です。スバル車のエア・スクープもこの場所にあります。

穴に水が入ったりしないの?

というわけで、ボンネットに穴が開いているのは、冷却の為な訳ですが、管理人などは「ボンネットに穴が空いてたら、雨が降ったらエンジンに水がかかるんじゃないのか?」とか思ったりします。

もちろん、メーカーの純正ボンネットなら、雨水対策等も万全です。錆びやすい箇所には樹脂パーツを使用するなど、水の浸入などを考慮した作りとなっています。エンジンルーム内にも水抜きの穴などを配して、水が溜まらないようにしています。

少々危なっかしく感じるかもしれませんが、そこは心配しなくても大丈夫です。